アウレリオ@渋谷梶谷農園〜Vol.2〜@広島

May 08, 2018

梶谷農園〜Vol.1〜@広島

広島へ。
今回の目的は「梶谷農園」です。
広島県三原市久井町にある梶谷農園で栽培しているハーブやスプラウト、エディブルフラワーなどは、日本国内の星付きレストランや名だたるお店で使われています。ここのお野菜を使いたいという店が殺到する中、すでに150軒ほどの契約レストランがあり、ウェイテイングリストには300軒もあるそう。

私が食べに行くレストランでも、様々なところで梶谷農園の○○というハーブとか○○というスプラウトが使われていて、そのお名前だけは存じていたのですが、いろんな繋がりで私の拙いブログを見てくださっていると聞いたのが数年前でした。それから、是非農園を見に来てくださいとのお誘いもあり、念願かなって訪問。私のような一般人が行っていいのか正直迷いましたが、ここで機会を作ってくださったことに感謝します。クラフタルの真ちゃんにも感謝。

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広島空港に着くと、梶谷さんが車で迎えに来てくださり、数10分で農園に到着。それから農園を案内してもらいました。
いくつかのビニルハウスが並んでいます。

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梶谷農園の梶谷譲さんは、3人兄弟の末っ子。父親はバブル時代に春の七草やハーブなどで、一時代を築いた農家だったそうですが、美食家でもあり、フランスやスペインのレストランなどいろいろ連れていってもらったそうです。中学2年でカナダに留学し、その後は高校、大学とすすみ現地で農業を学んだそうです。しかし、父親が交通事故で、農業ができなくなってしまってからは、兄が継いでいたそう。そこで、さらに3年間カナダの園芸専門学校で学んだ後、帰国。兄は野菜よりバイク好きだったので、僕が新しい形で始めようと思っていましたと。そうして、彼が事業を継いだのが2007年でした。そこからの苦労話なども熱く語る梶谷さん。

私が知る限りでは、10年以上前にフランスに行っていた時は、ノルマンディ、レンヌのAnnie Bertin(アニー・ベルタン)という有名な農家が、野生のハーブやマイクロ野菜を作り、ミッシェル・ブラスやジョルジュ・ブラン、ピエール・ガニエール、アストランスなどの三ツ星レストランがこぞって彼女が作った野菜を使い始めていたのを覚えています。今やフランス、特にパリの星付きレストランでは、シェフ御用達としてアニー・ベルタンの野菜を見ないことがないほどに各種の野菜が使われています。
10年以上前の日本は、日本の山菜や野草は食べることがあっても、特に西洋ハーブや野草に関してはまだまだ認識が薄く、バジルやミント、ローズマリー、セージ、フェンネルなどのハーブは一般的に使われていましたが、セルフィーユやヒソップ、オイスターリーフってなあに?みたいな感じでアマランサスやナスタチウムやオゼイユなどはそれこそ、ここ数年で使われてきたもの。エディブルフラワーが流行った時期もあり、ボリジも初めて食べたのはフランスでした。

梶谷さんは、ミッシェル・ブラスやパスカル・バルボの師事で、フランスでどんな野菜やハーブが流行っているか聞き、農園で栽培し始めます。ただ、それらを作っても、JAや市場に卸していたのでは、安値でなかなか売れないし、レストラン向けに関西や東京他のレストランに売り込みに行ったそうです。
食べることは好きなので、関西や東京などのレストランに、自分が作ったハーブを名刺代わりに置いていきましたと。お店としては、こんな素晴らしい珍しいものが国内で手に入るならばと高く買ってくれる。ならば、そのお店に合うものをより良く作り、きちっと選別してニーズに答えたい。そうして、自ら出向き販売ルートを開拓してきた結果、今や全国で注文が殺到する有名な農家になったわけです。

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まず、案内してくれたのは、実験的に栽培しているハウス。
ケール4種、フェンネル、ニガヨモギなどを作っているそうです。

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スイスチャード。

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フェンネル。赤い色のフェンネルは珍しいです。

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ラベージやニガヨモギなどを試食。その香りの強さにはっとします。
ラベージは、北欧では必ず使われるセリ科のハーブで、初夏の時期にはどこのレストランでも必ず出てきました。セロリのような香りやつんとくる苦みが特徴ですが、日本ではまだなじみがないですね。ニガヨモギ(アブサン)も摘んだばかりのものは、苦みの中に甘みを感じるようないい香り。新宿の某Barで自家製のニガヨモギを蒸留して作っているあのアブサンの香りを思い出しました。

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今契約しているレストランのシェフは、変わったもの、新しいものが欲しいので、常に新しいハーブ作りを試作しながら、ヨーロッパだけでなく、メキシコや南米種のものも試作中だとか。メキシコのマリーゴールドの葉もいい香りでした。

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オゼイユは、スイバ、スカンポ、ソレルなどと言われ、酸味が特徴のある葉野菜ですが、ヨーロッパでは酸味と共に加熱するととろっとした旨味になるので、ソモン・オゼイユはトロワグロの有名料理。生でも美味しくて、スウェーデンではよく食べ、私は大好きですが大きな葉は日本ではまだまだ受け入れがたいみたい。
アニスやレモンバーベナも素晴らしい香りでした。

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さらに、いろいろと案内してくださいます。ベビーリーフがいろいろ。

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ハーブは3日に1度種まきをし、小さく芽吹いたものから大きなものまで、その成長過程でミリ単位のサイズ違いができるようにしていて、どのお店がどのくらいの大きさのハーブを求めているか、その要望にきめ細かく対応するそうです。

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高菜、ケール、ルコラ、クレソン、からし水菜など。

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セルフィーユ。

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いわゆるチャービルですね。葉もフレンチパセリとして使われますが、白い花も繊細で可愛い。

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ルッコラと花。ルコラってわんさか花が咲くとこんな感じになるんです。

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その花は軸に蜜もあって、その甘さとルコラのちょっと辛みのある葉の味もちゃんとあります。古代ローマでは惚れ薬として信じられていた花。エキゾチックな花の花言葉は「競争」「私に振り向いて」だそうです。

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これは、水菜の花。水菜の花は初めてみました。食べると水菜の味も。

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ディルの花。

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フェンネル。

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クレイトニア。お花が咲くと可愛い。

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いろいろ説明を聞きながら、他にもタンポポ、アニスヒソップ、セロリ、イタリアンパセリ、ニンジンなど味見させてもらいました。

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こちらはレッドロメインレタス。

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採ったばかりのものを食べさせてくれましたが、しゃきっとした芯もみずみずしく柔らかで苦みの中に甘みがあります。これでシーザーサラダ作ったら美味しそうと思ったら、後で出してくれるそうです。

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肥料を使うのは1年に1回で、あとは頻繁に種を蒔いて、水やりをし、虫がつく大きくなる前に出荷するので農薬を使う必要もないそうです。

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車で戻る途中の山道にも松の新芽やら、木の芽らしきものも発見。

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ポピーの花も咲いていました。ドイツやベルギーでは、初夏の時期にあちこちに咲き乱れていて、花びらも食べたことがあります。

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続いてお花のコーナーを案内してくださいました。

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ナスタチウムは、花がたくさん咲いています。

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アリッサム。

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メキシコのマリーゴールドだったかな。

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ボリジ(ルリジサ)

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ガストロノミーなお店ではよく使われるようになったボリジ。綺麗なお花ですが、レストランで食べると味はそんなにないのに、摘みたてはちゃんと蜜があり甘いんです。

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畑だけでなく、苗箱でも栽培しています。

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数々のスプラウト類。ひまわりや野生のエゴマもありました。

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レッドオキサリス。これもよく使われるようになりましたが、黄色い花が咲くんですね。

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緑や赤だけでなく薄いオレンジ色も。

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中でもピンクの斑入りのものは珍しいです。これはこれから増やして売り出していきたいそう。

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豆の時期には、カラスノエンドウもよく見ますね。

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その他いろいろ、オゼイユやオイスターリーフなど定番のものも苗床で育てています。

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ローズマリーの山も。

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こちらは、LEDの光で発芽させているところ。この部屋には数々の種を保存している冷蔵庫もありました。

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「三ツ星レストランに卸す農業をやりたい」
全国の料理人が求めているハーブや野菜が、こういったいろいろな形で栽培され、レストランごとの細かな要望に答えながら収穫され、出荷される。その現場を実際に見ると、彼が10年間で欧州に追いつくように築き上げてきたハーブや野菜の世界。そして、それを超えていくこれからの展望をじっくりと感じとることができました。

近年で話題になった北欧では、NomaやFavikenが有名ですが、何年も前からそれ以外の地方レストランが当たり前のように自ら自家菜園を作り、そこで育てた野菜やハーブをふんだんに使い、それぞれの店が独自のスタイルで料理を作っています。ただ、今の日本の都会型のレストランでは限界があり、それをかなえたのが梶谷農園でした。

彼が作る様々なハーブや野菜達が、ガストロノミーレストランの一皿を存分に引き立て、共に飛躍してきたといっても過言ではありません。そして、一身を込めて作っている彼のハーブや野菜をレストランが、どう使いこなしてくれるか。食べ手としては、これからも楽しみでなりません。



「梶谷農園」

広島県三原市久井町羽倉1784−1




ranmarun at 12:00│Comments(2) その他 

この記事へのコメント

1. Posted by kajiya   May 16, 2018 07:17
感動的!!農園のFBにのっけて良いですか?も〜のけっちゃいましたが。ありがとうございます!!
2. Posted by ロン   May 16, 2018 16:53
こちらこそ、貴重な機会を作ってくださりありがとうございました。
何か間違った記述がありましたら、メッセくださいね。

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