Bow Bar@札幌霜止出苗(しもやみてなえいずる)〜Vol.2〜@札幌

May 11, 2019

霜止出苗(しもやみてなえいずる)〜Vol.1〜@札幌

「霜止出苗(しもやみてなえいずる)」に行きました。

昨年春まで5年間営業していた「五十嵐」を閉店し、今年4月に新たに中島公園近くに新しいお店がオープンしました。店舗がある新築のビルはまだ工事中で、看板もなくエントランスへの庭もこれから造っていくそうですが、先早に行きたかったのです。

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扉を開けると開店祝いの胡蝶蘭が並んでいます。

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以前のお店とは一新して、靴を脱いで座敷のカウンターに上がるスタイルです。
内観は和食か鮨屋のような落ち着いた雰囲気です。
座席は6席のみで、今までよりもさらに客数を絞って、営業時間は、14時スタートと18時スタートの2回転制になっています。
五十嵐の頃にも通っていましたが、ベースがフレンチながらも鮨好きな五十嵐シェフは、だんだん和の方向に料理がすすんでいきました。移転するにあたって、新店舗ではそういった彼の料理の方向性を重視してデザイナーに設計してもらったそうです。
約1年の充電期間中には、フランスや南アフリカなどのワイナリーを各地巡ったり、国内もいろいろ食材探しの旅に出たそうです。

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カウンターの後ろの桐箪笥は、特注だそうで、左半分はワインセラーに、右半分はグラスなどが収納されています。このシンプルさもカッコイイですね。

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桐箪笥のワインセラーは初めて見ましたが、この設備を作るのに結構大変だったそうです。

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霜止出苗(しもやみてなえいずる)という店名は、七十ニ候の十七候、二十四節季の穀雨と次候を意味します。霜が降りなくなり、稲の若菜が伸び、田植えの準備が始まる頃。
新たに始め、伸びて成長していくという意味や、日本の食材のみを使って自然を表現していきたいという意味をこめて名付けたそうです。
稲の若芽が緑鮮やかに伸びていく光景をイメージした手ぬぐいのナプキンが用意されています。

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Bourdaire Gallois

お酒はシャンパンからスタートしました。
ブールデール・ガロワは、モンターニュ・ド・ランスのピノムニエ100%。収穫の際には、ドライアイスを贅沢に用いて酸化を予防しながら野生酵母でマロラティック発酵。ドサージュゼロ。

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青りんごや白い花の香りと酸味、ミネラル感がきりりと。

お水は、白老の白透水という温泉水。軟水でシリカが豊富な柔らかなお水です。

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ワインクーラーにもこだわりが。
右はジャック・セロスのレストランで購入したもので、左はそれをイメージして日本の作家さんに造ってもらったそうです。和の設えになじむような存在感が素敵です。

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鰊の切り込み

鰊の塩漬けや数の子の一夜干しを上富良野の麹を2週間発酵させたものと和えてあります。
北海道らしい郷土料理ですが、隠し味に利かせた花椒がほのかに痺れ、シャンパンを飲んだ時の泡感と花椒の清涼感が、共に鰊や麹の甘みをすっきりさせてくれます。

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やりいかの塩辛

やりいかの塩辛は、一度干してから麹とわた、一味唐辛子を和え、刻んだラディッシュと青たでをのせて。先付から日本酒が欲しくなるようなビジュアルですが、基本的にはシャンパンやワインに合うように、味のバランスをとって作りこんでいます。

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鰤のスモーク

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ねっとりとしたハムのように燻製にした鰤は、赤酢塩かけて。
高知の塩二郎さんに特注で作ってもらった赤酢塩。この旨味のある酸味が、やはりシャンパンに合うように計算されています。

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パイナップルのスモーク

パイナップルは塩漬けして燻香をつけて。
パイナップルの甘酸っぱさが、ガリ的な口直しになり、燻香が旨味を加えるように。

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Puilly Fume 2014  Pierre Olivier Bonhomme

柑橘やトロピカルフルーツ、ジンジャーの香り、蜂蜜やミネラル感で優しい酸。ふくよかさがありながらも、すっきりとした後味で、小皿多数な味の変化もしっかりと切ってくれる感じ。
和を意識しながらも、日本酒ではなく、自分が廻ったフランスや南アフリカ、その他の国の自然派のワインを中心に合わせていきたいと。料理のマリアージュもしっかりと計算されています。
このピュイ・フュメもそんな一本でした。

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つぶ貝

つぶ貝とキウイフルーツ、バニラ風味のオリーブオイル。
この組み合わせもピュイ・フュメのワインの香りとリンクするような一品でした。

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カウンターにあるコンロの土鍋で、自家製の蕎麦を茹でます。
新得の蕎麦粉の9割蕎麦は、朝打ち立てのもの。

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雲丹そば

茹で上がって氷水で冷やした蕎麦には、雲丹と削った山わさびと柑橘。
山わさびの香りと辛味が、雲丹の甘みを引き立て、苦みを消してくれます。

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ほっき貝

ほっき貝は、ガスパチョ風ソースと。

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あおりいか

あおりいかは25%の灌水締め。
塩水でなく、塩を作る前の海水を注ぐようにして締めることで、いかの甘みをぐっと引き出しています。お寿司のように見えますが、切れ目を入れたあおりいかのみ。
一口で食べるとふわっと溶けるような食感と甘みが広がります。

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当別町のホワイトアスパラ。

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残った蕎麦湯で茹でます。

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ホワイトアスパラガス

さっと茹でたホワイトアスパラガスの下には、蕗味噌が敷いてあり、とても美味しいです。
この蕗味噌は、採ってきたものを1時間くらいじっくりと炒めてコンフィのようにしたものに味噌はほんの一塊だけ加えたそうですが、ゆっくり炒めることによって、蕗の薹の苦みやアクが抜け、甘みと深みが出るので、味噌も少しだけでいいそうです。

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La Vestia 2017 Oriol Artigas

野獣のいう意味のスペインのワイン、パンサ・ブランカ100%。
この絵はオリオルの親友の似顔絵だそうですが、オリオル自身もこんな風貌をしているのだとか。
白桃やカシューナッツの香るに、しっかりとしたミネラルと優しいとろみ感と旨味があります。

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コハダのテリーヌ

スペシャリテの小肌のテリーヌも健在です。
締めた何重尾ものこはだを、大葉とガリと赤酢ベースのコンソメビネガージュレをミルフィーユのように重ねて、生ハムで巻いたもの。

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この幾層にも重なる味わいが絶妙で、しっとりとなじんだコハダの旨いこと。
またこれを食べることができて嬉しいです。

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穴子と牛タンのパテ・アンクルート

穴子と牛タンとコンソメジュレに、実山椒や蕗の薹がアクセントになっているパテ・アンクルート。

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穴子と牛タンの味や食感の融合が面白く、実山椒や蕗の薹などの和のアクセントがいいですね。
ワインもばっちり合っていました。

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そして、シェフが前日採ってきたばかりのたらの芽とあずき菜。
札幌から車で3時間行った山に生息する野生のたらの芽のぷっくりと大きいこと。
あずき菜はいわゆる行者ニンニク(アイヌ葱)ですが、茎の色の濃さとフレッシュな香り。
こちらもこれから調理してくれます。

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コースで20皿近くのお料理が出てきます。
前半が終わり、後半に続く・・・

「霜止出苗」

北海道札幌市中央区南9西4−5−12 カモカモビル1F




ranmarun at 14:00│Comments(2) フレンチ | 和食

この記事へのコメント

1. Posted by Hi   May 28, 2019 00:52
五十嵐の新展開、早く行きたいんですよね〜
^ ^
こちらみたいに、コハダを面白くしたお店が各地にありますね♪
2. Posted by ロン   May 28, 2019 05:03
>>1
お店もカッコイイ造りです。お料理も北海道の食材を中心に、よりシンプルになりました。コハダのテリーヌも素晴らしかったです。
是非〜♪

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