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October 06, 2020

クレッセント@芝公園

「クレッセント」に行きました。

諸事情で、10月31日に閉店することになったクレッセント。
今回が最後の訪問となってしまいました。
10月末まではすでに予約は満席になったそうです。

1947年に設立され、当時は官僚や上流階級専用のサロンとして使われていたそうですが、1968年に一軒家レストランとして改装。
外観は見事な煉瓦造りの建物と中はビクトリア調の落ち着いた雰囲気と調度品の数々。
階段や窓一つとっても、アンティークな芸術品で、今後同じような造りの建物は二度と造ることができないと思います。
建物は取り壊す予定だそうですが、例えば大使館とか美術館とか何かの形で残して頂けることを望んでいます。署名活動などもあるそうですが、どうなるのかな。

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最後のディナーは、東京タワーが見えるクレッセントルームにて。

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この位置皿を見るのも最後になってしまうのは、感慨深いです。

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Egly Ouriet Blanc de Noir  Grand Cru


エグリ・ウーリエのブランドノワール。
NVですが、デコルジュマンが2005年で、入荷したものを貯蔵しておいたそうです。
通常でも熟成期間は63か月をとっているので、20年ほど熟成させたことになりますね。

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落ち着いた泡と黄金色で、凝縮した果実味とミネラル感に、厚みのある質感は、熟成した白ワインのように奥深い味わい。途中でグラスを変えながら頂くことにします。

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アミューズ


冷たいアッシュパルマンティエにビーツのパン粉。
オリーブ。白海老のチップスにクリームチーズをはさんで。

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メニューは磯谷シェフにおまかせしましたが、シェフのスペシャリテを味わうお料理を織り交ぜたコースで。


トマトのコンプレッション


まずは、スペシャリテのトマトのコンプレッションです。
トマトのムース、タルタル、ジュレの三層構造。

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トマトのヘタに見立てたのはバジル。以前は、ほうれん草でも作っていました。
トマトの泡には、バジルシードをのせて。それがトマトの種のような食感も感じます。
トマトの優しい甘みや酸味が美しく折り重なって、見事に完成された一品です。
昔変化球で蕪のコンプレッションも作ってくれたことがありましたが、白い蕪の旨味を重ねたものもいい思い出。

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伊勢海老のポワレとキャビアのタルタル

千葉の伊勢海老は、タルタルとポワレ、サラダ仕立ての3パターンで。
伊勢海老のタルタルにはオシェトラキャビアをのせて。
伊勢海老のポワレと髭。そのショーフロワを。

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まずは、温かいうちに一度ボイルしてからポワレした尻尾のぷりっとした食感。
髭の部分の身もクリームと緑野菜のピュレで。

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伊勢海老のタルタルはオシェトラキャビアをのせて。
足の部分も綺麗に剥いてあり、サラダ仕立てに。
伊勢海老の足って大きなものでも綺麗にそのまま剝くのは蟹よりも大変な作業ですが、それをまとめて食べる美味しさ。より伊勢海老の甘みを感じます。
こういう細かい仕事は、たくさんのスタッフがいないとできないですから。

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Grands  Echezeaux Grand Cru   2006 Domaine de la  Romanee  Conti


クレッセントは、ワインリストも素晴らしく、特にグランヴァンはお値打ちでどれも魅力的だったのでリストを見ながら、ワインはどれにしようかと迷い、ワインリストを眺めながらシャンパンを飲む時間も楽しい。
そして、グラン・エシェゾー・ロマネコンティを頂くことにしました。
今の市場では、ここの価格の倍以上するので、嬉しい限り。
こういう素晴らしいグランヴァンが合う料理もクラッシックな料理だからこそ。
ちなみに閉店後残ったワインは、リストごと全て購入してくださる方を探しているそうで、それほどの財力とスペースがあればと夢のまた夢。。。
この日のワインだけでも夢見心地でしたから。

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フォアグラのエイギュイエット

こちらは、ジラルデ直系のレシピで、フォアグラ・ドア(鵞鳥のフォアグラ)に、クルミやイチジク、レーズンなどのドライフルーツを詰めてポルト酒とマデラ酒のゼリーで覆ったもの。

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今までも何度か頂いた頂いたことがありますが、よりなめらかな食感と共に、エシェゾーの深い果実味が開きます。

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ドライフルーツ入りのブリオッシュにのせて頂くと、フォアグラの旨味と甘さが引き立ちます。

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次のお料理に、エグリ・ウーリエは、大きなグラスで。

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舌平目と雲丹のボンヌ・ファム

ここに初めて来たときに食べた感動の思い出料理で、最後にもう一度食べたかった一品。
ブレゼした舌平目の間に雲丹をはさんで、そのスープや生クリームを煮詰め、焼き上げたもの。
下にはほうれん草のソテー。その野菜の切り方も変わり、ほうれん草の軸を斜めに切るしゃっきり感がふんわりとした舌平目と雲丹の食感をよりなめらかに感じます。
ここからは、料理に集中して頂いたので、断面図など撮るのは忘れました。

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憩いの一口

オマール海老の冷製スープに、クリームとコーヒー豆の香りで、カプチーノ仕立てに。

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牛頬肉の煮込み

メインディッシュは、鴨や蝦夷鹿、ロッシーニもありましたが、ロッシーニは前回頂いたので、シェフがあまり作らない牛頬肉の赤ワイン煮込みにしました。
黒毛和牛の頬肉をしっとりと柔らかく煮込み、赤ワインソースとクリーム。
添えてあるヌイユをからめながら頂きました。

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松茸とインゲンのサラダ

岩手の松茸とインゲンをさっとソテーして。
以前松茸尽くしのコースも頂いたことがありますが、あの時のアレンジも素晴らしい思い出です。
フランス料理で松茸を巧みに使いこなすシェフもなかなかいませんから。

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フロマージュ

シェーブル・ドール、サントモール、ブリアサバラン、エポワス、タレッジョ、コンテ24か月を。
フロマージュは、意外にシャンパンの方が合いました。

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木苺とキャラメルアイスクリームのシュクセ

キャラメルアイスクリームをメレンゲでサンドして、焼いたピスタチオをまぶし、木苺をのせて。
濃厚なキャラメルアイスと香ばしいピスタチオの風味と軽いメレンゲ。木苺は常温に戻してからのせてあるので、その豊かな果実味と優しい甘酸っぱさがちょうどいいバランスです。

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焼きたてのマドレーヌ。

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タルト・ヴォードワーズ

大好きなタルト・ヴォードワーズは、これももう最後なので、4分の1カットで。
ウイスキーボンボンも。

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コーヒーと共に。

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今までこちらに伺ったのは、20数回ほどですが、毎回感動の料理でした。
食後は磯谷シェフとお話して、これまでの思い出を懐かしみながら、感謝の気持ちを伝えました。
スタッフ達は、また新たな場面で活躍していくことになるそうですが、磯谷シェフは一度田舎に帰ってゆっくりするそうです。
とりあえず閉店までの1か月は、全力で走り切り、シェフやスタッフ達もまたさらなる飛躍を楽しみにしております。


「クレッセント」

東京都港区芝公園1-8-20

03-3426-3211





ranmarun at 18:00│Comments(8) フレンチ 

この記事へのコメント

1. Posted by oda_susi   October 16, 2020 01:04
はじめまして。

以前、本ブログを参考にして渋谷の蕎麦屋さんを伺って以来、時々本ブログを拝見しています。
※凄く美味しくて、和洋をお洒落に取り入れ、大満足な蕎麦屋さんでした。


さて、歴史と思い入れのある建物が取り壊されるのは残念ですが、現物の保存活動もなかなか大変と思われます。
せめて、形のあるうちに高画質3Dカメラで撮影して、後世に記録を残す提案は出来ないのでしょうか。

コロナ自粛下で、国立科学博物館が一般社団法人VR革新機構の協力のもと、Matterportと呼ばれるVR撮影方式で、館内展示光景を3D撮影・公開しています。
非常に鮮明な画質で、HMDなどの専用再生機器が必要な3D画像だけでなく、スマートフォンから2D画像として再生することも可能です。
恐らく、経済合理性に反して頑張って保存活動をするよりも、桁違いに安い費用で済みます。

Matterportは、歴史的建造物や美術館の撮影・ネット公開に使われることも多くなってきており、以下リンク先を見れば、画質イメージは大体分かる筈です。
ちなみに、新垣結衣さんの写真展なども、Matterport方式で展示光景が有料公開されていました。


<一般社団法人VR革新機構 撮影例>
https://vrio.jp/member_works_all.html


本ケースについて、一般社団法人VR革新機構が無料撮影の条件(ざっくり言えばコロナ自粛施設が該当)に合致すると判断して応じてくれるかは不明ですが、Matterport撮影業者も増えてきました。
いずれにせよ、撮影後も数千円〜数万円/年程度の維持費はかかります。

撮影しただけで保存活動が完結しない事は承知していますし、関係者の皆さんの方向性に沿った参考情報であるのか分かりませんが、ご参考まで、、、
2. Posted by Hi   October 16, 2020 12:47
こちらの閉店は残念です (涙)
3. Posted by ロン   October 17, 2020 01:52
>>1
はじめまして。コメントありがとうございます。
そして、貴重な情報をありがとうございます。
レストランとしては、いろいろな調度品、銀器やシャンデリア、アンティークの家具などを写真画像として残しているようですが、VRも興味深く面白いですね。
オーナーや関係者達の意向がどのようなものなのか、それ次第だと思いますが、とても有効的な方法だと思います。
いずれにしても閉店した後は、伝説のレストランとして語り継がれることでしょう。
4. Posted by ロン   October 17, 2020 01:59
>>2
私がフランス料理に造詣を深めるきっかけとなったレストランでもあるので、とても残念です。それでも、出会ってから何十回か通うことができた貴重な経験と思い出を大切にしたいと思います。
5. Posted by メリーの付人   October 17, 2020 12:47
4 ロン様
最後のクレッセントですか…
伊勢海老の温かい冷たいや🍅の圧迫 素晴らしい料理です😆🎵🎵🤭
しかも造り手が ロマネ・コンティのDRCではないですか🤯
アピシウスを含め 歴史のあるグランメゾンでいただくワイン🍷は最高😃⤴️⤴️ですね🎵🤭
ロン様 コロナウイルス感染に気をつけてblog更新して下さいませ🙏
毎回 楽しみにしています😆
6. Posted by メリーの付人   October 17, 2020 13:20
申し訳ございません🙏
造り手がロマネ・コンティのバーガンディの赤葡萄酒でした😅
えっ👀⁉️ バーガンディだけ英語🔤を使うのか🤯
と思われるでしょうが…
フランス語だと吉野建 一時期 小田原のステラマリス時代 豪洋と名乗っていましたが
彼が 素人に何が解る👿御高く留まってんじゃねえよ‼️💢
と他のお客様が居るフロアで罵声を浴びせるので なるべく日本語表示にしています🙏
吉野建の名前は今回 出しておりませんので
誰の事か ロン様にもわからないですね😅
7. Posted by ロン   October 19, 2020 06:18
>>6
吉野建御大ですよね。わかりますよ。
小田原のステラマリス時代は、子供だったので行ったことありませんが、パリのステラ・マリスや芝にあった時のタテル・ヨシノは何度か行きました。
そして、今もたまにイベントなどで作ってくださる御大の料理は素晴らしいと思います。
8. Posted by メリーの付人   October 19, 2020 11:22
>>7
赤坂にあった光亭の頃からの天敵です😅
その後 青山の よだれにも行きました‼️🤭😎
銀座 タテルヨシノの経営が良くないのはどうでも良いと思っています😆🤭
が…奥様が亡くなられたのは とても残念です😓
吉野建シェフとは 今後も正々堂々と戦います😤

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